Japanese Clinical Guidelines · Temporal Before/After

医療ガイドラインの
新旧比較データセット

日本の医療ガイドライン約200冊について、旧版と新版で回答が変わった箇所を 46,705 件 集めました。
各ペアに新旧の出典が付いています。

長嶋 大地 Daichi Nagashima
GENSHI AI 代表取締役 CEO  /  東京大学医学部附属病院 循環器内科
データを見る Hugging Face 引用
46,705
新旧ペア
201
ガイドライン
7,042
revision(改訂)
2010–24
新版カバー年
医療ガイドラインの新旧比較
同じ質問で、旧版と新版の回答を突き合わせています。
Premise

数年ごとの改訂

改訂のたびに、診断基準や推奨薬が変わります。
古い版のままだと、今の標準と違う回答になります。

387
改訂を重ねるガイドライン
タイトル+発行組織で判定
664
存在する旧版の数
収集した全体での実数
最大10
同じガイドラインの旧版数
例: CKD は 2007・09・12・24

日本の医療ガイドラインを集めると、387 のガイドラインが改訂を重ねていて、旧版だけで 664 本ありました。改訂はだいたい数年おきです。たとえば CKD 診療ガイドは 2007・2009・2012・2024 と4回改訂されています。変わったこと自体より、どこがどう変わったかが見えにくいのが問題です。

本データセットは、そのうち旧版の本文を取得できた 336 のガイドライン・旧版 518 本 を新版と照合し、変わった箇所を 46,705 件 のペアにしました。改訂は1回とは限りません。102(30%)は旧版を複数持ち、最も多いガイドラインでは10本以上あります。

1つのガイドラインが持つ旧版の数

旧版を持つ 336 のうち、複数を持つものが 102(最大10本)

2341本642本203本94本95本+

この新旧の差分は、DPO(最新版を選ばせる選好学習)、埋め込みの時間軸学習、医師の継続教育(CME)、モデルが古い知識を答えないかの評価などに使えます。

Abstract

概要

日本の医療ガイドライン 201 冊・2010〜2024年 を対象に、同じガイドラインの旧版と新版の回答を突き合わせ、46,705 件 を新旧の出典付きで収録しました。各ペアは type(revision / addition / none / new / unrelated)で分類しています。DPO、埋め込みの時間軸学習、医師の継続教育、時間整合性の評価などに使えます。

Motivation

なぜ作ったか

古いガイドラインのまま診療すると、患者のリスクになります。数年前の知識で止まったまま見落とすものは、大きく 2種類 あります。本データセットは、その両方を type で分けて収録しています。

  • 答えが変わったもの数値目標・診断基準・推奨薬の改訂です。同じ質問でも、旧版と新版で答えが違います。
  • 新しく登場したもの旧版には項目すらない新薬・新概念です(例: CKD治療の SGLT2 阻害薬、フィネレノン)。
before / after
Taxonomy

5つの type

全ペアを、新旧の差の性質で5つに分けています。
捨てるのは判定できなかったものだけです。

type意味件数
revision旧版から新版で答えが臨床的に変わった(DPO向き)7,042
addition新版で情報が追加された(旧版と矛盾しない)6,680
new旧版にない新登場(新薬・新概念)1,430
unrelated旧版の類似箇所が別の話題(要確認)255
none言い回しだけで中身は同じ31,298

type の分布

全 46,705 件の内訳

none31,298revision7,042addition6,680new1,430unrelated255
Examples

実例で見る

revision
Q

冠攣縮性狭心症を「確定/疑い」とする前提条件は?

A Before · 旧

硝酸薬によりすみやかに消失する狭心症様発作であること。

A After · 新

自然発作・非薬物誘発試験・薬物誘発試験(アセチルコリン等)のいずれかで確認する。

変更点診断の前提が、硝酸薬への反応から誘発試験の有無に変わりました。

日本循環器学会ほか

new
Q

SGLT2阻害剤の服用時に注意すべき熱中症の誘因は?

new drug
★ 旧版に項目が存在しない
(新登場)
変更点古い知識のままだと気づきにくい部分です。新薬や新概念がここに入ります(例: クリゾチニブ、ベバシズマブ)。埋め込み検索だと旧版に誤ヒットするので、キーワード照合で別に拾っています。
addition
Q

メトトレキサート(MTX)投与時に併用すべき薬剤と目的は?

A Before · 旧

葉酸製剤を併用し、肝機能障害・消化器症状・口内炎を予防する。

A After · 新

葉酸/活性型葉酸(ロイコボリン®)を併用…(活性型葉酸の具体名と推奨用量を追記)。

変更点方針は同じで、活性型葉酸の名前と用量が追加されました。
Statistics

データの内訳

新版の年分布

新版側ガイドラインの発行年(2010–2024、ピークは2020年)

201020122014201620182020202220249,417

revision の変化の大きさ

改訂 7,042 件の major / minor 内訳

major · 3,876minor · 3,166
Method

作り方

新版の Q&A を起点に、同じガイドラインの旧版本文と照合します。
4ステップです。

1
旧版を検索質問を ruri-v3-310m でベクトル化し、同じガイドラインの旧版 L2 チャンクから上位5件を取り出します。
2
旧版回答を生成取り出した旧版本文だけを使い、gemma-4-31b で回答します。該当がなければ飛ばします。
3
新旧を判定新版回答と旧版回答を gemma-4-31b で比べ、revision / addition / none / unrelated に振り分けます。
4
新規を抽出旧版本文に一度も出てこない新薬・固有名を含む新版 Q&A を、キーワード照合で別に集めます。
生成はすべて google/gemma-4-31b-it、埋め込みは cl-nagoya/ruri-v3-310m(ModernBERT-ja)を使っています。旧版が複数あるガイドライン(約3割)は各旧版と比べ、回答が同じ版はまとめています。
License & Citation

ライセンスと引用

本データセットは CC BY 4.0 で公開しています(商用可・改変可)。CC BY 4.0 では、利用時に出典の明記(著作者・データセット名・ライセンス・変更の有無)が必須です。明記の形式には、下記の引用を使ってください。

@misc{nagashima2026medslmja, title = {med-slm-ja Before/After: A Temporal QA Dataset of Japanese Clinical Guidelines}, author = {Nagashima, Daichi}, organization = {GENSHI AI}, year = {2026}, howpublished = {\url{https://huggingface.co/datasets/genshiai-daichi/med-slm-ja-before-after}} }
注意・制限。旧版回答は旧版本文からの抽出生成で、当時の実際の文言とは異なる場合があります。LLM 生成を含むので、臨床判断は必ず一次資料を確認してください。none は学習信号がなく DPO 向きではありません。unrelated は検索の誤ヒットを含むので要確認です。新旧の年が同じ・不明なペアもあります(版メタデータ由来)。